こんちゅう

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1950年代と地域社会 神奈川県小田原地域を対象として(一日一冊、2/22)

今日はおいしいラーメンを食べに片道30分、車を一人で運転して行った。人生最長記録である。これからもどんどん更新していきたい。初心者マークは外さないがな!
(初心者マークをつけていると、気のせいかもしれないが、周りの車が私を避けていく気がする)

 

さて、今日読んだのは「1950年代と地域社会 神奈川県小田原地域を対象として」である。この企画の特徴として中身を一切見ずに本を手に取るというものがあるのだが、今回はそれが凶と出た。

具体的な内容としては、1950年代の地域社会について、農業、工業、経済、生活、教育、政治などの様々な角度から明らかにしていこうという、一橋大学の教授を中心とした研究チームの、8年にも及ぶ調査をまとめた学術書である。そのため内容は複雑仔細を極め、とてもではないが一般人が気軽に読めるようなものではなかった。

特に小田原市にスポットを当てているので、本書の大部分は「小田原市史書」であり、小田原市とは縁もゆかりもない私としてはあまり興味の沸くものではなかった。しかし、各セクションの後に小括がまとめられており、全体にも総括が書かれているので、そこだけを読むことにした。ざっくりとしたまとめとしては、1950年代の地域社会は、昔ながらの農村関係(ムラ)と都市の枠組みが、対立するわけでもなく互いを圧倒するわけでもなく、微妙な塩梅に共生しており、それを支えたのは地域の協同性の気質であったということらしい。

この本を手に取って、文系科目の研究とはこのように行われるものなのかと感心した。目を引くのはその参考文献の量の多さである。小田原市という、おそらく研究メンバーの多くにとっては縁もゆかりもない地域について、これだけ詳細に調べ上げ、ひとつの文章にまとめるというのは、並大抵の努力ではないのだろうと感じた。
もちろん、それが一冊の本として、学術的価値と、一般人が読んで面白いかは、もちろん別の話である。ただ、この本が、最近の日本に蔓延する、1950年代の日本を「理想」を追い求めた夢の時代であった、というノスタルジックに描写する傾向に対する学術的な答えであることには間違いない。

 

1950年代と地域社会―神奈川県小田原地域を対象として

1950年代と地域社会―神奈川県小田原地域を対象として