こんちゅう

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バッタを倒しにアフリカへ(一日一冊、2/25)

 

今日からは春休み前半のメーンイベント,数物セミナーが始まる.始まる前にTwitterエゴサしたところ,なんともまあ強そうな人たちばかりである.何よりも彼らは心の底から勉強が楽しそうだ.私もその中に楽しみを見出す瞬間があるにはあるが大部分はつまらない作業であることが多く,つくづく自分は研究に向いていないなあと思う.まあ折角大金とそこそこの予習時間をはたいて行くのだから,同世代のガチプロの人たちから何か学びたいものである.

そんなこんなで初日の行きの新幹線から既にネガティブで参加しなけりゃよかったと軽く後悔しているがさておき.今日の予定を見たらどうにも自由時間がなさそうなので新幹線の中で今日の一冊を読む.
「バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郎,光文社,2017)この本は2018年の新書大賞を受賞しているということで手に取った.最初の数ページを読んだだけでこの本がどのような本なのかが分かる.つまり,バッタを研究して論文をいて実績を上げて昆虫博士になるためにアフリカに旅立ちバッタのフィールドワークをしようとするが,肝心のバッタが60年に一度の大干ばつにより全然見当たらずヤバイ!という,まあアフリカ体験記のようなものである.

そのような序文とタイトルと表紙と煽り文から既にこの人は変人なんだなと思わなくもないし,まあ内容としても奇抜で語り口が軽快なので多くの人に受け入れられ,新書大賞を穫るというのもうなずける.
だがやはり,大学生から見て注目したいのはその研究の過酷さ,アフリカのモーリタニアという日本人がわずか数十名しか滞在していない僻地に行き,現地の厳しい生活を受け入れつつなお果敢にフィールドワークに励む姿は,これこそまさに研究者なのだなあという,この前読んだ1950年の地域社会と通ずる(ある意味平凡な)感想を抱いた.しかしこれだけしても,研究員としての正職に就くのは厳しいというのだから世知辛い.

と言うわけで今日の感想は終わりだ.新幹線がもう少しで目的地に就くというのもあるが,この本は純粋に「読み物として面白い」ので,特段感想を述べる点もない.興味があれば読んでみてはいかが.
ただし,本書には数枚,「バッタがうじゃあってなっている写真」やらが載っているので,そういうのが苦手な人は要注意だ.

 

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)