こんちゅう

エッセイ・小説・ブログ・楽譜置き場。 不定期更新。

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「・・・」

僕達は谷瀬さんだったものから目を離すことができない。

「・・・おい、なんだよこれ」

僕たちは人が残骸へとなり果てる姿を、一部始終見ていたのだ。

「・・・、なんだよこれ、どうなってんだよ!!」

慶介が叫ぶ。「俺は知らねぇ。俺は知らねぇからな。俺はなにも見てない」

虚空に向かって言い訳を続ける。僕が慶介のほうを見た瞬間、目が合った。その目は、どす黒い何かが渦巻いているようだった。

「おい、なんだよ武、何か言いたいことでもあるのか」

「いや、そういうわけじゃない」

「・・・第一、武が、トンカチで、谷瀬さんを・・・」

僕たちの心臓の鼓動が高まる。表面に入った亀裂が脳裏にフラッシュバックする。

 

「・・・う、うわああああああああああああああああ!」

突然隆信が大声で叫び、全速力で走って逃げていった。

「お、おい、待てよタカ!お前だけ逃げるつもりか!」

慶介は走り去る隆信を追いかける。優子も慌ててそれについていく。ひどく動揺しているようだった。

 

 

僕は独りになった。

僕の予想を遥かに超えた、最悪の結果となってしまった。

けれども――僕は知っていたから、吐きそうなくらいしんどいけれど、まだなんとか平静を保っていられる。

 

ふと、谷瀬さんだったものの残骸のなかに、「黒いもの」があることに気づく。恐る恐る近づき、それを取り出す。銃だ。警官用の拳銃だ。爆発したのは頭だったから、まだ下半身はそこまで損傷を受けていなかったのだろう。

僕はまだ希望を捨てていない。あの3人をなんとか連れ戻して、大人達に気づかれる前にボートでこの島から脱出する。それしか道は残されていない。銃が手に入ったのは不幸中の幸いだ。使い方はよく分からないが、脅しの道具としても十分に使える。

とにかく、あの3人を連れ戻さないといけない。僕は3人が去っていった方向に走り出そうとして、やっと気が付いた。

 

――彼らが走っていった先には、時計台がある。

 

状況は最悪のままだ。僕は時計台目がけて、全速力で走った。

 

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2016/8/7