こんちゅう

エッセイ・小説・ブログ・楽譜置き場。 不定期更新。

日本やきもの史入門 (一日一冊、2/11)

 本日選んだのは「日本やきもの史入門」(矢部良明、1992、新潮社)
である。私はやきものに関する知識は全くないので、写真が多く入っており、かつページ数がない本書は有難い存在であった。

 

内容としてはタイトルの通り、日本における陶芸の歴史を縄文時代から辿っていく。ここで「縄文時代から」と書いたが実はこれは循環論法のようなもので、なぜなら日本において縄文土器を使用していた時期が縄文時代弥生土器を使用していた時期が弥生時代と定義してしているからだ。(もちろん、このことは小学校あたりで習ったはずなのだが、教養のない私はこの本で再び出合うまですっかり頭から抜け落ちていた)つまり、それほど土器というものは日本人にとって由緒正しい歴史と伝統を持つということである。

この本には、やきものがどのような形で発展していったかを、様々なカラー図を共に明快に記されている。
中国や朝鮮からの影響や、貴族の嗜みから民間人への需要の推移、江戸時代における長崎からの輸出の需要に応えるための様々な装飾の開発、日本各地の窯場の栄枯盛衰など、やきものにも一筋縄ではいかない歴史があるらしい。

この薄い本を読むだけで、日本のやきもののざっくりした歴史は把握できるし、日本各地のやきものがどのようなルーツを持ったものなのかも理解できるだろう。非常に面白かった。教養としても十分に読む価値があると感じた。

 

ただ私が、デパートで売っているようなクソ高いやきものを欲しいかどうかは、また別の話である。

 

日本やきもの史入門 (とんぼの本)

日本やきもの史入門 (とんぼの本)