こんちゅう

エッセイ・小説・ブログ・楽譜置き場。 不定期更新。

おのぞみの結末(一日一冊、2/13)

ここ数日は少し忙しいので,簡単に読める本ばかりを選んだ.

今日は「おのぞみの結末」,星新一ショートショート集だ.
星新一ショートショートというと,どこか小中学生向けなイメージを持たれるかもしれないが,私は大好きだ.
非常に短い小説ながら,最後の最後までオチが全く見えてこない.このワクワク感がたまらない.

さらにもう一つ注目したい要素がある.挿絵だ.星新一の挿絵は真鍋博という人物がしばし担当しているのだが,その世界観がたまらない.無国籍で無機質な星新一の小説をほのかに色づける,その塩梅がぴったりなのだ.

ちなみに,私は1年前くらいに,国立国会図書館の「挿絵の世界」という企画展示を見に行ったことがあり,そこに星新一の「ボッコちゃん」の初出雑誌が展示されていたのだが,そこに掲載されている挿絵も彼のものであった.
その雑誌の刊行日は1962年である.これだけ長く人々に愛されていながら,なお古めかしさを帯びないこのコンビは,日本において他にはなかなかないのではなかろうか.

 

おのぞみの結末 (新潮文庫)

おのぞみの結末 (新潮文庫)