こんちゅう

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シャーロック・ホームズはなぜ外見だけで人を見抜けるのか?(一日一冊、2/17)

地元の図書館が復活したので,今日からはここで本を読んでいく.自然科学のコーナーに数多の数学の本が立ち並ぶ姿をみたとき,思わず感動してしまった.当たり前だと思っていたものが実は当たり前ではないことに気付かされ,とてもいい経験となった.(もちろん,臨時で使用していた隣町の図書館も,小さいながらも落ち着いた雰囲気で非常に良かったですけれどね)

 

今日選んだのは「シャーロック・ホームズはなぜ外見だけで人を見抜けるのか?」(斎藤勇,2013,宝島新書)という本だ.著者は立正大学の教授ということでまあ安心かなと思い手に取ったが,まあ酷い内容だった.
シャーロック・ホームズが初めて会った人物の素性をズバズバ当てていくシーンを導入とし,人の仕草,行動パターンなどからその人の特性を見抜く方法が書かれているが,まず大前提として,シャーロック・ホームズはフィクションストーリーである.それをさも現実にも適用できるのだという導入をしている時点で腹立たしいし,何よりも,「〜という容姿を持つ人は〜だ」「〜という行動をする人は〜だ」という決めつけが全く学問的ではない.こんな,血液型性格診断と何も変わらないようなことをツラツラと書いているだけなのに,煽り文に「心理学研究の第一人者」と称されているのだから救いようがない.


こんな本を読むくらいなら,私がこの一日一冊企画で以前に読んだ「はじめて学ぶパーソナリティ入門」を読んだほうが遥かに有意義である.この本は,統計的観点をベースとした心理学であるのでアカデミックな内容となっている.血液型性格診断がなぜ適当でないのかも記述してある.

 

ともかくこの本は本当に良くない.そもそもこの本を取ったきっかけは,図書館の2月の特集で「黄色い本を集めました!」と称し入り口にずらっと並べてあったからなのだが,そもそもカバーの色が黄色だというだけでひと括りにまとめるのも正気の沙汰ではない.どうしても黄色い本を集めたければSpringerの本でも並べておけばいいのだ.

 

シャーロック・ホームズは なぜ外見だけで人を見抜けるのか? (宝島社新書)