こんちゅう

エッセイ・小説・ブログ・楽譜置き場。 不定期更新。

ボランティアという病(一日一冊、2/26)

数物セミナーも2日目である.周りが皆理学部のプロで嬉々として可換環について語っている中ひとり工学部のワイ,完全に異世界にきた気分である.

 

今日読んだ本は「ボランティアという病」(丸山千夏,2016,宝島社)前回までの反省を生かして比較的最近出版された本だ.時期としては熊本地震が起こった直後,数多くの民間ボランティア団体が乱立し,その中にはあまり適切でないような団体もあり問題であるという話.ボランティア問題はたびたび指摘されているし,マスコミでも注意喚起が行われている.つまり,自分の食事や睡眠場所は自分で確保すること,決して被災者の方々,もしくは他のボランティアの方々に迷惑をかけてはいけないことなどがある.しかし,それに加えて「変な民間ボランティア団体には所属しない」という注意喚起が追加されるべきであろう.それら団体の会計事情は不透明であるし,そこに所属して頑張った結果はすべて代表の功績に代わられる可能性もある.

まあ言っていることはだいたい注意喚起のレベルとして正しいし,実際にそう思うが,私が注目したいのは,この筆者はFacebookTwitterというSNSや,2ちゃんねるなどの情報をしばし活用しているという点にある.
もちろん,それらサイトに載っている情報をそのまま鵜呑みにしているということではなく,「これらサイトには〜などという人もいる」という形で引用している.少し古い本ばかり読んできた私からすれば,ここまでSNSの動きを取り入れる本というのは個人的には驚きだ.そこまでSNSというものが社会において影響力を占めてきているということなのだろうが,ネット上の書き込み,特に2ちゃんねるなんかは所詮「便所の落書き」である.この本は全くそんなことはないのだが(つまり,実際に熊本に取材に行っている),今後SNSの情報や動きだけをまとめてさも学術的のように振る舞う本も出てくるのではないだろうか,もしくはもう既に存在しているのだろうかと思うと,不思議な気分である.

 

ボランティアという病 (宝島社新書)

ボランティアという病 (宝島社新書)